− プロフィール −
実践コミュニケーション プランナー
市場 真理子 (いちば まりこ)
《略歴》
大学卒業後、飲食チェーン店にて人事教育および店長を経験。
その後、大手金融業で教育責任者を担当し、同時にコーチング講座を主催。教育研修の理論を現場で導入した経験を活かし、コーチングの枠を超え、現在は実践コミュニケーションプランナーとして、企業と個人を対象にコミュニケーションを駆使して結果を出し、人と社会を元気に活き活きさせることを理念として活動中。
資格:
生涯学習財団認定コーチ
HP:現場監督.com
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『あり方が伝えるもの』
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みなさまこんにちは。
コミュニケーション術の向上について私の経験を基にお伝えしてきたこのコラムも、とうとう最終回となりました。
最終回は、私の経験の中でも最近ようやく考えられるテーマとなってきた、リーダーのコミュニケーション術について皆様にご紹介したいと思います。
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飲食店で店長をしていた時、一番苦労したのは何かと聞かれれば、人との関係でした。
部下との関係、年上のパートさんとの関係、アルバイトの学生との関係。
色々な人間相関図がある中で、全員で同じ方向を向いて仕事を進めることに四苦八苦する毎日でした。
ある日、大学生のK君がお客様からクレームをいただくという事件が起きました。
普段は職場のムードメーカーでお客様からも人気のある彼ですが、時に気分次第で行動をしてしまう所があり、その日はどうしてもお客様と合わなかったらしく、ぶっきらぼうな態度がお客様に伝わり、アンケートで苦情が寄せられました。
どうしようか悩んだ末、私は終業後に1対1で話をしてみる事にしました。
クレームの内容を伝えて注意をすれば納得してもらえるだろうと思っていたのですが、予想に反してK君は私の話にまともな返事もしません。
「なんでこのようなアンケートをもらったと思う?」
「わかりません。」
「お金を払って、食事を楽しみに来るお客様の気持ちを考えてみて」
「さあ・・・」
結局話は3時間に及び、私はお客様をおもてなしするということや、給料をもらってプロとして働いているのだという事を必死で伝え、それでも納得した様子ではないので、空の食器セットを揃えて、配膳の練習まで行いました。
実は、内心私はアルバイトにここまで要求して、すぐ辞めてしまうかもしれないという不安でいっぱいでしたが、予想に反して次回からも彼は何事もなかったかのように出勤し、少しずつ責任感のある行動が見られるようになりました。
そして、後日私が退職する際に、本気でぶつかってくれたから、バイトを続けようと思ったと手紙をくれました。
職場でリーダーシップをとる方から、指示や言葉の伝え方、コミュニケーションの仕方について相談を受けることがあります。
「どのように伝えればよいのかわからない」
「相手と考えが合わないから伝わらない」
「最近の部下は根性がなくて、平気で辞めたいと言い出す」
このような場合、私は本人がどういうリーダーとしてコミュニケーションを取っているのか、その人が目指す方向性を聞いてみますが、なかなか明確に答えられる方はいないようです。
リーダーのあり方とは、もちろん人により様々な方法があります。
しかし、共通して重要なのは、
「相手と本気で向き合うこと」
ではないでしょうか。
私も今まで様々なリーダーやコーチと一緒に仕事をさせていただいていますが、本気で向き合ってくれている人と、そうでない人は話をしていて伝わってくるものが違います。
では、本気で向き合うにはどうしたら良いのか。
そのために必要なのは、方向性ばかりを追うのではなく、部下やメンバーの事をしっかりと観察し、理解した上で、相手のために、時には厳しく対峙することが必要です。
こういう組織にしたい、こういう方向性に導きたい、そのために相手にこうあって欲しいという思いがリーダーのあり方となり、コミュニケーションを作り出します。
転職後に私が一緒に仕事をした部下の女性は、入社2年目で国籍も違いました。
文化の背景も違い、教育の仕事も初めてという相手に対し、最初は随分とすれ違いがあり、自分の考えや方法を伝えることは諦めようかとも思いましたが、とにかく一歩踏み込んで、徹底的に話しをして、時に怒ったり、反対に謝ったりしながら、関係を築いていきました。
今ではそんな彼女も私と同じ教育の仕事をしたいと、目標に向けて新たな努力を始めています。
最後に、リーダーとして人の意見を聴き、本気で向き合った時、私は本当に相手に育てられたなと振り返って思います。
思い切ってぶつからなければ、反応も返ってこない。
近づいて触ってみないと、相手の気持ちには踏み込めません。
同時に、コミュニケーションほど大きな変化をもたらすものはないことも実感しています。
コミュニケーションスキルや上手な人との付き合い方もとても大切ですが、リーダーがぶれない方向性を持って、相手と対峙する時、そこに本当のコミュニケーションが生まれるのだと思います。
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